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2010-06-03

米上院委で普天間移設費削減要求

 米議会はお仕事してるようです。
 前にもこんなことがありましたが、国防総省がねじ込んだ記憶があります。
 今後どう推移するかわかりませんが、米国の議会は予算について強い権限を持っています。
 このままでは、普天間が存続するという誰得な状況が確実です。

海兵隊移転費70%削減 米上院委『普天間』同意要求
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2010060302000059.html
【ワシントン=岩田仲弘】米上院軍事委員会は二日までに、国防予算の大枠を決める二〇一一会計年度(一〇年十月〜一一年九月)国防権限法案の採決で、在沖縄米海兵隊のグアム移転費の政府原案四億五千二百万ドル(約四百十億円)のうち約70%に当たる三億ドルを削減した上で、法案を可決した。

 委員会は報告書で、移転費計上に向けては、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画に関して「目に見える進展を国防総省が証明する必要がある」と強調。大幅削減の理由の一つとして、県知事の埋め立て許可が得られていない点を指摘している。

 知事の同意を得た上で移設計画を進めない限り、海兵隊移転費を計上しない米議会の姿勢が明確になった。

 報告書はこのほか、グアムの環境影響評価(アセスメント)手続きを完了させることを要請。グアムの訓練地が軍の要求基準を満たしていないことも指摘している。

 同委員会の対応は、〇六年の日米合意に基づく一四年までの代替施設の完成と海兵隊グアム移転という目標実現は困難との認識を示したものといえる。

 国防総省高官は一日、「現在目標達成に向け順調に進んでおり、目標を変更する予定はない」と強調したが、予算獲得には先月末に日米間で合意した新たな移設計画の完全履行が至上命令となった。

theme : 軍事・平和
genre : 政治・経済

2010-06-02

鳩山総理辞任表明

 まず驚きました。
 昨日の様子では辞めるようには思えなかったのですが、なにがあったんでしょうか。
 
 
 細かい話は明日の朝刊にでも載るでしょうから、本件を通じて知った民主党の不思議を紹介します。
 
 
・代表は永遠
 民主党の党規約には、代表選挙の規定についてこのように書いています。

民主党 党規約
http://www.dpj.or.jp/governance/policy/index.html
>>>>>>>>>
第11条 本党に、代表を置く。
2 代表は、党を代表する最高責任者とする。
3 代表の任期は、就任から2年後の9月末日とし、重ねて就任することができるものとする。なお、任期満了に伴う新たな代表の選出をもって任期は終了するものとし、また任期内に新たな代表が選出されない場合には、両院議員総会の承認をもって、任期は新たな代表が選出されるまで延長される。
4 代表の選出は、所属国会議員、県連を通して本部に登録された党員(地方自治体議員を含む)およびサポーター、その他代表選挙規則にもとづき、役員会の議を経て常任幹事会の承認にもとづき定める有権者による選挙によって行う。代表選出のための選挙は、代表の任期が終了する年の9月に行うことを通例とする。
5 代表選挙における各有権者の投票権の行使の方法については、代表選挙規則において定める。
6 代表選挙の立候補者が1人である場合には、党大会または両院議員総会における承認をもって、選挙に代えることができる。
7 任期途中で代表が欠けた場合には、代表選挙規則にもとづく選挙によらず、両院議員総会において代表を選出することができる。この場合、新たに選出された代表の任期は、欠けた代表の残任期間とする。
8 本規約に定める機関の役員等の任期は、代表の任期に従うものとする。
9 代表選挙の実施方法等に関する代表選挙規則は、役員会の発議にもとづき、常任幹事会で決定する。
<<<<<<<<<


 比較のため、自民党の党則の、総裁の項目を以下に示します。

自民党 党則
http://www.jimin.jp/jimin/jimin/tousoku/tousoku-1.html
>>>>>>>>>
第  四 条 本党に、総裁を置く。
2  総裁は、党の最高責任者であって、党を代表し、党務を総理する。
第  五 条 本党に、副総裁を置くことができる。
2  副総裁は、総裁を補佐し、総裁に事故があるとき、又は総裁が欠けたときは、総裁の職務を行う。
第  六 条 総裁は、別に定める総裁公選規程により公選する。
2  総裁が任期中に欠けた場合には、原則として、前項の規定により後任の総裁を公選する。ただし、特に緊急を要するときは、党大会に代わる両院議員総会においてその後任を選任することができる。
3  前項ただし書の規定により総裁を選任する際の選挙人は、両院議員及び都道府県支部連合会代表各三名によるものとする。
4  総裁の任期満了前に、党所属の国会議員及び都道府県支部連合会代表各一名の総数の過半数の要求があったときは、総裁が任期中に欠けた場合の総裁を公選する選挙の例により、総裁の選挙を行う。
5  前項の要求は、党本部総裁選挙管理委員会に対して行うものとする。
<<<<<<<<<


 民主党には、代表を罷免させるシステムがありません。
 自民党は、第六条第四項にあるように、国会議員及び都道府県支部連合会代表各一名の総数の過半数の要求があったとき、総裁の選挙を実施することで、事実上総裁を罷免できます。が、民主党の規約にはそういった項目がありません。
 民主党代表は、任期を満了するか、辞任する以外に辞める方法はありません。つまり、代表であり続けようと思えば、任期が来るまでしがみつくことは党の規約上は可能なのです。
 
 
・鳩山総理が代表に固執していた場合
 私は、昨日の小沢幹事長らとの会談で辞任する考えがないと表明したとの報道を受けて、鳩山さんは代表の座に固執しているものと考えていました。
 鳩山総理が代表の座に固執していた場合、どうなっていたでしょうか。
 
 まず、党規約では罷免手続きがないので、民主党が鳩山さんに代表を辞めさせたいとなれば、党大会を開催してあるいは罷免手続きを党規約に盛り込み罷免手続きを行うか、党大会に代わる両院議員総会で同様の議決(あるいは、できるならば罷免議決ですが、でも党規約に罷免議決できるなんて書いてないしなぁ・・・・・・できない前提で話を進めます。明文化されてないし、うん)をするか、あるいは事実上脅迫して辞任させるしかありません。
 しかし、脅迫ならば鳩山総理に分があります。
 党に対して
「オレを辞めさせようってなら解散するぞ!」
と、脅迫するのです。


 民主党は、選挙を戦えないから鳩山総理を代表から辞めさせようとしていました。鳩山総理が代表のままでは選挙に勝てない、ということです。
 もしこの状況で解散となれば、民主党は敗北するでしょう。だって、鳩山総理がそのまま代表なんですから。鳩山総理が代表だと負ける、というのが真であるならば、解散総選挙に打って出られたら民主党は解散総選挙でも負けます。
 となると、民主党としては非常に困ったことになります。
 参議院選挙で敗北するならまだしも、圧倒的優勢な衆議院の議席を失ったら、確実に政権も失うことになります。これでは、なんのために鳩山総理を代表から引きずり下ろそうとしたのかわからなくなります。民主党としては引きさがざるを得ません。
 
 鳩山総理が代表に固執する限り、民主党としては鳩山さんを代表として頂かなければなりませんでした。
 
 なので、私は鳩山総理のまま参議院選挙に突入すると思っていました。昨日の時点で折れなかったので。
 しかし、その予測は外れてしまいました。
 
 
・民主党の利
 では、今回の辞任劇は民主党にとって利となるのでしょうか。
 組閣されたあとの世論調査を見てみなければなんともいえませんが、これで民主党の支持率が劇的に上がるのも、内閣支持率が跳ね上がるのも想像しにくいです。
 
 普天間基地移設のゴタゴタの引責辞任、という形を取り繕っていれば、まだごまかせたと思いますが、鳩山総理ははっきりと「政治と金」を辞任の理由に挙げました。政治と金を理由とするなら、もっと早く辞めるタイミングがありました。
 何を今更ですね。どう見ても参院選挙目的の辞任です。報道によれば、通常国会は延長せずに6月16日までと民主党は考えているようで、あと2週間しかありません。その間に首班指名選挙やって、組閣、就任演説までやらなければなりません。この間にできることは限られています。
 ていうかやれることは事実上ないでしょ。
 つまり、民主党としては政策実行を放棄したも同然です。これで国民の支持が集まるのでしょうか。むしろ選挙目的があからさますぎて支持は下がるんじゃないでしょうか。
 
 
・誰が火中の栗を拾いに行く?
 参議院選挙で勝利すれば言うことありませんが、敗北すれば代表は責任をとらされます。
 いまのところ敗北の公算は高く、代表交代でどれだけ支持率を持ち直せるかというばくちも同然で、国会も終わるため総理大臣になったところでやれることもなく、代表は魅力のあるイスとは言い難いです。
 
 参議院で敗北したあとの代表交代を狙って今は雌伏するというのも魅力的です。どうせ衆議院で圧倒的過半数をとってるので、参議院選挙後も民主党は政権を担うでしょう。先に述べたように参議院選挙で敗北したら詰め腹を切らされる公算が高いです。それなら、参議院選挙のあとの代表のイスを狙うのが総理に最も近い道とも言えます。
 ただ、今この困難な時期に代表となることで、民主党を引っ張る旗手として存在感を示すことで、参院選後も求心力を維持し、引き続き代表職を努める・・・・・・というのもなくはないですが、どうなんでしょう? 正直厳しい気がしますけれども。そんなことできるような人ならまさにスーパースターですが、今のところ名前が挙がっているのは、前原大臣、岡田大臣、菅副総理ですが・・・・・・どれもこれも過去代表をやったメンツで、そんなスーパースターには見えません。前原大臣はメール事件で引責辞任し、岡田大臣は郵政選挙で大敗北した責任をとって辞めました。どっちも選挙前に据えるには縁起が悪いです。普天間基地移設問題の担当大臣だったことも影響しそうです。
 となるとあとは菅副総理しか残っていませんが・・・・・・ この人代表になるの三回目なんですけど・・・・・・ていうか内閣で何か仕事したっけこの人。「イラ菅」と呼ばれるほどのかんしゃく持ちなんですが・・・・・・今のふくれあがった与党をまとめられるのかというと、疑問符がつきます。

 また、普天間基地移設問題はまだ決着していません。日米合意にはこぎつけましたが、地元の合意がとれていません。今後もとれる見通しがありません。鳩山総理の退陣報道を受けて、沖縄県知事は新政権に早速注文をつけています。
 
普天間、県民の思いを…沖縄知事が新政権に注文
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20100602-570753/news/20100602-OYT1T00958.htm

 次の内閣は、普天間基地移設問題の地元合意をとりつけることが課題として残っています。今のところ、参議院の争点となり得る火種です。参議院選挙までに解決できればいいですが、よほどのことがない限り難しいでしょう。民主党は「最低でも県外」と言ったことについて、まだなんの責任もとっていないのです。
 これが自民党に政権交代・・・・・・ということならある程度沖縄も諦めるでしょうが、参議院選挙では政権交代はまず起こりません。
 かといって日米合意は反故にできません。外交は連続性が大事です。言ってみれば信頼関係です。日々の行いがその人の人物像を形作っていくように、一度約束を破ればそういう国だと世界中から見なされてしまいます。
 国ができることは、あとは平身低頭ひたすら沖縄になんとか納得してもらうよう粘り強く説得することしかできませんが、民主党と沖縄の信頼関係は鳩山総理の手によってズタズタです。修復するには相当時間がかかるでしょう。参議院選挙に間に合う可能性は極めて低いです。
 
 
・まずは様子見
 まずは、通常国会です。
 政治主導確率法案や、国会改革法案、郵政改革法案は継続審議となるとの報道もありますが、国民新党にとって郵政改革法案は存在理由でもあるので、素直に継続審議に応じるかは不透明です。
 
 口蹄疫措置法は成立したようなので、これについては心配する必要はなさそうです。法律さえあれば、我が国の官僚はキビキビ動くでしょう。
 
 もっとも注目すべき点は、やはり民主党の人事です。
 表面上小沢幹事長は辞任しますが、事実上の院政を敷いてしまっては「政治と金」に決着をつけたとは言えないでしょう。 以前は西松建設違法献金事件の際に、代表から「選挙対策本部長(選挙担当の代表代行)」に鞍替えすることで選挙を乗り切ったことがありますが、さすがに与党になってこんな真似が見過ごされるとは思えません。
 また、新幹事長に小沢幹事長の息のかかった人物がなった場合は、やはり小沢幹事長の院政と受け止めるべきで、「政治と金」に決着をつけたとは言えないでしょう。今のところ名前が挙がっているのは、海江田議員細野副幹事長ですが、いずれも小沢幹事長に近いと言われている議員で、彼らがなった場合は小沢幹事長の院政が行われると見ていいでしょう。
 
 
 今後、野党は解散総選挙を要求するでしょう。
 民主党はそれを無視して、通常国会を終えるでしょう。
 
 そのあとは、いよいよふたを開けてみないとわからない参議院選挙がやってきます。

theme : 民主党・鳩山政権
genre : 政治・経済

2010-05-29

抑止力理論

 普天間基地移設問題でたびたび出てくる「抑止力」という言葉。
 しかし、抑止力は簡単なようでいて難しい概念です。
 そこで、私の抑止力の認識をここで示し、抑止力とはどういうものか、他の人の理解の助けとなればと思います。
 
 また、「それは間違ってる!」という部分があればガンガン指摘して下さい。
 参考となる書籍の紹介は大歓迎です。
 
 
・戦争を起こす気をなくさせるのが抑止力
 まず、抑止力の基本は足し算・引き算です。
 例えば、A国の軍事力が10で、B国の軍事力が5とします。
 このとき、単純化するために、1の軍事力を撃破するのに1の軍事力が必要とします。
 また、B国の資産を7とします。軍事力の1と資産の1は等価である、としましょう。
 このような仮定のとき、A国がB国を攻撃する際に消費するコスト(侵略コスト)は5、得られる利益は7となります。
 となると、A国はB国と戦争して勝利すれば、差し引き2だけ得をすることになります。
 となれば、A国は即座にB国に宣戦布告するのがお得です。
 
 となると、B国は、A国の戦争をする気をなくさせるためには、侵略コストを引き上げさせるのが手っ取り早いです。つまり、軍拡ですね。A国がB国を侵略した際の利得が2なのだから、B国は2だけ軍拡し、軍事力を7とすれば、A国がB国を侵略しても得がなくなり、A国は侵略することを諦めるでしょう。
 
 これが、最も簡単な抑止力理論です。
 
 つまり、戦争コストを戦争によって得られるコストよりも大きくすれば、相手は自国に戦争する気がなくなり、そうなれば戦争は起きない、ということですね。


・抑止力理論で陥りやすい罠
 でも、先の理屈をそのまま現実世界に応用するにはいくつか難しい問題があります。
 
 それは、侵略コストと侵略利得はここまで単純に計算できないと言うことです。
 これは戦争の不確実性(5の戦力に10の戦力をぶつけたら、差し引き5の戦力が残る・・・・・・とは限らない)、軍事力の完全な比較は不可能であること(軍事力は、兵員数、装備といったわかりやすい指標以外に、練度、士気といった数値化しがたいものも軍事力として評価しなければならない)、戦争によって失うコストや得られる利益は価値観で変動することなどが挙げられます。
 
 
 特に、価値観の違いは重要です。
 「命は地球よりも重い」という価値観の人ならば、人命を大量に失う戦争はコストが無限大に跳ね上がりますが、国民は指導者の名誉のためならばその命は羽毛よりも軽い、と考える人ならば、人命という点では戦争のコストは極めて小さくなります。
 人命に限らず、国家としてのメンツ、指導者としてのメンツ、自由や平等、歴史、統治体制の保護、国内景気対策、選挙対策、治安など、その時々でその国が重要と考える事柄は変わります。
 
 相手の価値観が正当に評価できないと、抑止力として必要な軍事力などの見積もりが見当外れになってしまいます。また、現在の状況が抑止力となっているかどうかの評価も間違えてしまうことになります。
 
 
 また、抑止力を増大させるもっとも手っ取り早い方法は軍拡ですが、同時周辺国にとって一国の軍拡は脅威と映ります。例えば、先ほどの例で言えばB国が軍拡したら、A国はそれは自分の国を侵略するために軍拡しているのではないか、と思うかもしれません。となると、A国は自国を防衛する抑止力を維持するために軍拡を行います。B国はA国の軍拡を見て、抑止力を維持するためにさらに軍拡を・・・・・・と際限のない軍拡競争が発生してしまうのです。
 しかし、軍事力は経済力に依存しており、いつか限界が来ます。どこかの国がこの軍拡競争の限界に達して、他の国がこれ以上軍拡して自国の安全が脅かされる前に、戦争に打って出て状況を打開しよう、と考えるかもしれません。
 戦争を抑止するための抑止力理論が、かえって戦争を招いてしまうパターンです。
 ちなみに、似たような理屈で戦争をした国が70年ほど前の太平洋にありました。あえてその国の名前は挙げません。


 また、抑止力は戦争をコストで捉え、そのコストを比較した結果損であると判断させ、戦争する気をなくさせる、というのが基本的な考え方です。
 けれども、この理論は相手がコスト比較を行うことが前提です。
 コスト比較を行わないような無鉄砲な国を相手にする場合、抑止力は全く意味をなしません。
 また、価値観の違いによる思い込みによって、相手の意図を読み間違えて、戦争に発展することはよくあります。
 第二世界大戦も、ドイツの指導者であったヒトラーは、ポーランドに侵攻しても英仏は動かない(参戦しない)と考えていましたが、その目論見は外れました。
 朝鮮戦争でも、北朝鮮の指導者金日成は、アメリカは韓国を守るために軍事力を行使しないと考えていましたが、アメリカは全力でこれを迎撃しました。
 もっとも最近の例では、湾岸戦争でしょうか。あるいは、アメリカによるアフガニスタン戦争もその例かもしれません。タリバーンの指導者は、アメリカ同時多発テロによってまさかアメリカが戦争を仕掛けてくるとは思わなかったでしょう。クリントン政権時代にやったミサイル攻撃がせいぜいだ、と思っていたかもしれません。
 
 
・抑止力は万能ではない
 抑止力理論は万能ではありません。国を防衛する有力な一つの手段であり、抑止力は唯一絶対の手段ではありません。
 ただし、国防を考える上で抑止力理論は基礎となります。抑止力抑止力とさかんに言われるのは、基本的な事柄であるからに他ならず、この基本を押さえずに国防を議論するのは論外です。

theme : 軍事・平和
genre : 政治・経済

2010-05-23

自衛隊で言うところの幹部

こちらのサイトで、自衛隊幹部の言葉として沖縄に海兵隊を置いている理由を三つあげています。

 では、そもそも自衛隊の幹部とはどういう人なのでしょうか。
 

・民間企業でいう管理職?
 自衛隊でいう幹部とは、民間企業では管理職に当たります。
 しかし、決定的に違う点があります。
 
 企業で管理職と言えば、下っ端から始まって経験を積んでなるもので、ある程度年齢を重ねなければなりませんが、自衛隊も含め、軍隊では違います。
 幹部となるべき専門的な教育を受け、ある一定以上の階級についているひとはすべて幹部です。
 自衛隊では、もっとも若い年齢で22歳で幹部と呼ばれる階級になれます。
 
 また、民間企業で管理職、といえば課長格以上かと思いますが、課長格は民間企業において幹部と呼ばれるような職でしょうか。
 企業規模にもよりますが、部長でも幹部とは言えないのではないでしょうか。経営に積極的に参加できる役職、すなわち常務や専務といったクラスが、民間企業では幹部と呼ばれるクラスかと思います。
 
 しかし、自衛隊では違います。課長格程度でも幹部は幹部です。具体的には、自衛隊では三尉と呼ばれる階級以上は、すべて幹部です。三尉は自衛隊の方向付けについて大きな権限を持つような階級ありません。むしろ幹部では下っ端中の下っ端です。
 
 専務や常務のように、自衛隊を組織としての方向付けを行えるような職務と言えば、更に駆け上がっていって「将」あるいは「将補」と呼ばれる階級でなければまずできません。ここまできてようやく、幕僚長などに赴任することができます。
 ちなみに、将と三尉の間には、二慰、一慰、三佐、二佐、一佐、将補という階級があります。
 
 自衛隊幹部の発言と言っても、三尉の発言なのか将の発言なのかで全く意味合いが異なってきます。課長が話すことと専務が話すことでは、重さが全く違いますよね。
 
 新聞でも、このあたりわかってやっているのかからずにやっているのか、「幹部」の話として、いろいろな話がしばしば取り上げられます。しかし、幹部と言っても自衛隊では民間と違い、とても幅があるのです。

 ブログに限らず、新聞やテレビなどでも、「自衛隊幹部の話」として出てきたならば、その幹部とされる階級はとても幅が広いことに注意が必要です。

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genre : 政治・経済

2010-05-22

三つの軍隊

 先日、統合運用についてちょこっと触れました。現代戦では統合運用が必須です。でも、だったら最初から陸海空と独立させず、まとめて一個の組織にしちゃえばいいんじゃない、と思いませんか?
 今後、統合運用の動きは加速していくでしょう。しかし、それでも三軍が一個の軍隊としてまとまる(陸軍、海軍、空軍の呼称がなくなる)ことはないと思います。
 
 今日は、三軍の独立についてお話します。
 
・分かれているのは役目が違うから
 どこの国の軍隊も、第一の目的は国防です。他国の侵略から領土や権益を守るのが軍隊のお仕事です。もちろん他国を攻撃するのも軍隊のお仕事ですが、第一の目的ではありません(北朝鮮は朝鮮半島南部の奪取が目的で、軍隊としては珍しく他国を侵略することを前提とした軍隊です)。
 
 しかし、同じ目的を持っていても組織として分かれています。それは、手段が異なるからです。
 
 陸軍と言えば歩兵、海軍と言えば戦艦、空軍と言えば戦闘機を想像する人が多いかと思います。これら代表的な兵科は、三軍が持つそれぞれの手段が決定的に異なることを象徴しています。
 
 手段が異なると、持たなければならない知識や技能も異なります。
 すべての知識をまんべんなく吸収し、すべての技能をこなせるならばそれに越したことはありませんが、それができるほど必要な知識は狭いわけではないし、技能も幅が広いです。となると、それぞれの分野に特化した専門の職種の人の集団の方が、器用貧乏な人の集団よりも強そうではありませんか?
 
 組織としても、それぞれの担当分野に特化した方が、効率的に国防ができます。陸を守るのが陸軍、海を守るのが海軍、空を守るのが空軍、とそれぞれ基本的な役目を決めておけば、いざというときに素早く対応できます。組織が巨大化すると動きが鈍くなってしまうのは軍隊も同じなのです。

 ただ、もちろん弊害もあります。組織が違うということは、組織文化も違うということです。そうなると考え方が違うため、いざというときに連携がとれなくなったりしてしまいます。そういったものを解消するため、平時から定期的に合同で訓練などを行って、いざというときの行動のすりあわせを行います。


・航空部隊を保有する陸軍、海軍、陸上部隊を保有する海軍、空軍
 さきほど、三軍を代表する兵科として陸軍は歩兵、海軍は戦艦、空軍は戦闘機、と書きました。
 でも、例えばアメリカ海軍は戦闘機を持ってますよね(空母をイメージしていただけるとわかるかと思います)。実は歩兵も若干ですが持っています。陸軍も、ヘリコプターだけではなくて固定翼機(輸送機など)を持っています。
 
 ただ、これもそれぞれの軍に役目が違うからこそ、こういった装備の重複が起こるのです。これは必ずしも無駄とは言えません。
 組織が違えば、命令系統も異なります。命令系統が異なるということは、陸軍の一方的な都合で海空軍を動かすことはできないし、海軍や空軍についてもそうです。目的に合致する範囲内において、それぞれの組織が装備を自前で保有することは、ある程度必要なのです。
 
 
・第四の軍隊、海兵隊
 アメリカ軍もっとも有名なのは、ひょっとしたら海兵隊かもしれません。
 海兵隊は名目上海軍の所属ですが、実質的に独立した軍隊です。彼らは陸軍、海軍、空軍のような装備を揃えています。すなわち、歩兵があり戦車があり大砲があり、上陸用装備を積載する艦を持ち、そこから離発着する戦闘機や攻撃機を保有しています。
 これは、海兵隊の任務が敵前上陸であるために、すべて自前で揃えて、ある程度は自分たちで何とかしなければならないために、このような特殊な装備体系になっています。
 
 
・大事なのは、なにをするか 
 三軍それぞれ特徴的な装備をしていますが、それはそれぞれに目的があり、それに応じた装備をしているからです。
 装備だけをみて、それが陸軍だ、海軍だ、空軍だ、と論じるのは適切ではありませんし、変な先入観に支配されてしまいます。
 
 大事なのは、三軍それぞれの目的に、その装備が合致しているかどうかなのです。

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